禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「誰が手放すなんて言ったんだ?」
あたしをチラッと見る目が、凍りつくように冷たい。
「だって、神楽が宮埜と政略結婚させる気だったんでしょ?」
しがらみがなくなっただろって。
髪まで切って。
それを手放したって言わないの?
「そうか…。そんな理由か。」
「そんな理由って。手放したんだから、あたしが何をしようと、神楽に止める権利はない!!」
「バカバカしい。オレが決めたことだったら、それに従うだけだろ?お前は、オレの手の中にいるんだからな。」
「なにそれ…。だったら、あたしは神楽のなんなの?」
「娘だ。」
「単なる娘なんだから、何をしたっていいでしょ!?」
「娘だから手放すことはない…永遠にな。」
耳元で囁いた。
冷酷に。
呼吸が凍りつくくらい冷たく。