禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「なっ…なに言ってるの!?」



スモークで見えないからって。



ここは車の中だよ?



しかも、人通りも多い空港の入り口。



「車の中は2人っきりだろ?いいのか?お友達がこのままで。」



ゆっくりと開く神楽の口。



狭いトランクの中で、晴沢と宮埜が苦しんでる。



早く出してあげないと…。



躊躇してる時間なんかない。



「…分かったから。」



バッと神楽から腕を払うと、震える手で上着を脱いだ。



「全部だ。」



声まで冷たい。



「全部って…。」

「イヤならこのまま帰るだけ。」


「…。」



答えなんか決まってる。

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