禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「…もっ…イヤっ…!!!」



この熱に全てを委ねたら、惨めになりそう。



落ちていくのが…



怖いよ。



「お前はもう、オレの手の中から離されることはない。…たとえ、オレを憎もうともな。」

「…許…して!!」


「許すことも自由にすることも、この先、他のものを求めたとしても。絶対に離しはしない。」



また…期待してしまう。



淡い期待は、いつも砕け散るのに。



「ど…して?」

「どうしてだと?そう思うなら、また誰かにすがって見ろ。心なんかなくても、体だけでも奪い取ってやる。たとえ、罪と言われようがな。」



うつろな目に見えるのは。



冷酷な言葉を話す、冷たい目をした神楽。



それなのに…。



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