禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

神楽のお父さんに、握りつぶされた。



「そうか。その代わり、キミ達親子の全てを保障する。宮埜さんもな。では、柊真の結婚式で会おう。」



それだけ言うと、神楽のお父さんは帰って行った。



居間に残されたあたしと宮埜。



言葉は交わせない。



張り詰めてた空気が凄すぎて。



一気に緊張の糸が切れると、涙が止まらなくなった。



「…ごめん。」

「どうして宮埜が謝るの?」



「オレのせいで、こんな事になったから。」

「宮埜のせいじゃない。あたしがいけないんだから。」



もっと早く、逃げてれば良かった。



…違う。
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