禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

「それしか、選択手段ないでしょ?」

「選択手段がどうとかじゃなくて、奏凛ちゃんの気持ちを聞いてるの。」



「あたしは…。」



もう、心まで落ちてる。



答えが分からないくらい。



深い…

深い…


真っ暗な奈落のそこまで。



「奏凛ちゃんの気持ちがなかったら、オレは承諾できない。」



本気だって分かるくらい。



真剣な宮埜の顔。



「…あたしは、宮埜と一緒だよ。」



ニッコリと笑った。



「…分かった。」



どこか悲しそうな。


重たい返事だった。



だけど…。
< 340 / 341 >

この作品をシェア

pagetop