禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「なにこれ?」

「オレ、1人暮らしなんだ。使っていいからさ。」


「バーカ。神楽さんに失礼だろ?」



呆れてる晴沢。



「ありがとう。行こう?」



鍵を受け取ると、サッサと外に出た。



「おいっ!!待てって。」



晴沢が焦って追いかけてきた。



「で?紺屋の家はどこ?」

「そんなんじゃないから…オレは、もっと大事にしたい。」



そう言いながら、優しく抱き寄せた。



心が凍りついてるあたしには、熱いくらいの温もり。



どうしていいか分かんない。



「家に行って、バカって壁に落書きして帰ろう?」



パッと晴沢の腕の中からすり抜けた。

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