禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「見てくれたでしょ?」



笑顔で紺屋が聞いてきた。



「うん。」



うつむきながら返事するしかない。



「どうする?」

「お金は用意できない。」


「そっか…残念。じゃあ、分かってるよね?」



急に紺屋の顔から表情がなくなった。



「あさってなら、夜でも家から出られるから。」



宮埜と約束してる。



本当は、神楽の秘密を聞き出したかったんだけど。



諦めるしかない。



その日じゃないと、あたしは自由に時間も取れないから。



それに、宮埜と一緒ってことにすれば、遅くなっても大丈夫だから。

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