禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
目の前に広がったフロアは、何かの撮影現場みたいで。



ライトやカメラがいっぱい。



「ここって…。」



あたしの言葉も聞かず、紺屋はたくさんいる男の1人と話してる。



「じゃあ、頑張ってね。」



戻ってきて、あたしにかけた言葉はそれだけ。



「ちょっと待って?これって何?」



帰ろうとする紺屋の腕を掴んだ。



「分かってるだろ?マニアには高く売れるんだよ。」



そう言って、エレベーターに乗り込んだ。



「待ってよ!!」



あたしの言葉は届かなかった。

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