禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
ツカツカと目の前に神楽が歩いてくる。



スーツのジャケットを脱ぐと、あたしの体に掛けた。



「…神楽?」



固まってるあたしの手を掴むと、グイッと引き起こした。



「誰の許可を得てるんだ?」



低くて重たい声。



「…ごめんなさい。」



驚いて止まったはずの涙が、ポロポロと零れ落ちた。



「そんなに穢れたいのか?」

「ちが…。」



言葉にならない。



「ほ~う。変わった趣味かと思ったが、違うのか。」

「……。」



コクンとうなずくしか出来ない。



「だったら、ここで何してる?」

「…神楽こそ、どうしてここに?」



涙で声が震えてる。

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