禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「あたしは…。」



出て行くって、どうして言えないんだろう?



「ハッキリと言えよ。」



冷たく引き離さなくてもいいのに。



「…神楽だって、同じことやってるのに。そんなに怒らなくてもいいでしょ?」



自分の事を棚に上げて。



出て行くって言えばすむのに。



「はぁ~?誰がいつ?」



よけいに怒らせちゃった。



「施設からあたしを買ったんでしょ?」



あたしまで、引っ込みつかなくなってる。



「そうに思ってたのか?」

「そうでしょ?あたしは、神楽の人形で…。」



泣いてるから声がつまって。

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