禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
優しく取った手に、暖かくキスをしてくれた。



そうだ。



あの日、神楽は笑顔で同じように、手にキスをしてくれて。



子供で分からなかったけど、一目であたしは神楽が好きになってた。




王子様みたいな神楽に。



あの日に心は奪われてた。



だから、当然あたしの答えは



「はい。」



…だった。



そんなこと、すっかり忘れてた。



「二度とやらないからな。」



そう言いながら、顔を真っ赤にして。



サッサとエレベーターに歩いて行っちゃった。



その後姿を見て、クスッと小さく笑った。










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