禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「美緒?」



泣きそうな顔をして、女の人が立ってる。



「…ごめん。2人で行ってきて。」



乗り込もうとした車から降りた。



「どうしたの?」

「うん。2人のデートの邪魔したくなくてね。」



笑って見せた。



「なにそれ?」



嬉しそうだけど、少し怒ってる英里奈。



「まぁ、そういうことなので…。」



バタンッ



ドアを閉めると手を振った。



困惑した顔してる2人。



あたしは、クルリと振り返ると女の人の所に歩き出した。



まさか…


こんなところに来るなんて。



今更なんの用事があるって言うの?



不安と怒りたい気持ちと。



どうしていいのか分からない。

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