禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「ちょっと、何するの?」

「おい!本当に、母親なのか?」



グッと肩を掴んだ。



「…本物。まさか、こんなに早く出てくるとは、思わなかったけど。」

「そうか…。」



それだけ言うと、何かを考えた顔して。



応接室に戻ってしまった。



ほんの数分…



険しい顔をした神楽が部屋から出てきた。



「…ねぇ。」



威圧感が凄くて。



声が震えちゃうくらい。




「……。」



何も答えてくれない。



そのまま、どこかに行ってしまった。


まるで、神楽に捨てられたみたいに。



神楽の背中を見ながら、悲しくなっちゃって。



追いかけることも出来なかった。









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