恋愛ごっこ
「ん・・・。」

(暖かい。)

目を開けると、うっすら黒いカーテンが見えた。

(うちって黒いカーテンなんてつけてたっけ?)

よく見ると布団が掛けられていた。

「・・・・!!」

ガバッ

ひかるは勢いよく起き上がった。

「うっ・・・頭が・・痛い。」

「あんま無理すんな。バカ。」

「ここは?」

「俺んち。おまえすごい熱で倒れたんだよ。」

「そうか・・・。」

三浦潤の部屋はカーテンも机のカーペットもイスも

ベットもすべてが黒だった。

「三浦潤の部屋は何故黒ばかりなんだ??」

「黒が好きなんだよ。」

「何故だ??」

「いちいちそんなこと聞くなよ。」

「何故聞いてはいけないんだ??
 
 黒は絶対別の色には染まらない。つまり、

 絶対に折れない強さだと私は思っている。」

「おまえ変わってるな。ほかのやつとは違う。」

「それは初めて言われてな。あと、おまえっていうのは

 やめろ。ひかるでいい。私も潤と呼ぶ。」

「あぁ。」

「なぁ、潤?おまえにはこの黒のような強い心を

 持っているんだ。もっと楽しい人生を送れ。女を傷つけるような

 男ではなく、女を守れる男になれ。」

「バカか。綺麗ごとばっか並べてんじゃねぇよ。

 でもまぁ、こんな女生きててそうめったに会える

 もんじゃねぇ。ひかる俺の女になれ。」

「それはこっちのセリフだ。私を選んだことを後悔
 
 するなよ?私は潤に本当の恋愛を教えると宣言したのだからな。

 私に従ってもらうぞ。」

「まずはその風邪をどうにかしてから大口たたけよ。」

「私はもう大丈夫だ。帰る。」

「送ってく。」

「じゃぁ、手でもつないでもらおうかな。」

「いきなりかよ。」

「絶対服従!」

「はいはい。」

ひかるは初めて恋というものを知った。

外はまだ冷たい雨が降り続いていた。











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