伝える想い

後悔


携帯の電源を入れる気がしないまま、次の日になって。


いつもより遅い時間に学校に着いた。


おはよって声に返しながら窓際前から三番目の席に向かう。


机にカバンをおろしてから、ちらっと隣の席を見た。

そして、気づいた。


…カバンが、ない?


朝練でいつもあたしより早く来てるから、姿は無くてもカバンはあるはずなのに…。


隣の…孝史の席が空っぽなのにびっくりしていて、後ろからの気配に気づかなかった。


「なに来ない旦那の机見つめてんのよ。」


頭に衝撃。


…来ない?


「来ないって?」


分かりきった犯人を振り返った。


満足げな顔の美佐。

「初めてヒット〜。孝史君に感謝しなきゃね。」


あたしはため息をついて、心底うれしそうな美沙の手から下敷きを奪って、頭をたたき返す。



いつもなら叩かれる前に避けてるところだった。

でも、それより気になるのは、美佐の言葉。

「……ねぇ、来ないってどういう意味?」

「え?」


あたしから下敷きを奪おうとしていた美佐が手を止めて、きょとんとした顔をみせる。


「だって、昨日部活後に遠征先行ったんでしょ?」



あたしの頭に、あの時の少し汗をかいた孝史の顔が浮かんだ。




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