~1day Love minutes~
「弥羅!?」


 なんとなく聞き覚えのある声だなーと思い、振り返ると、そこには衣玖らしき姿。


「えっ、い、衣玖? な、なんで・・・」


「なんでって、そりゃこっちのセリフだよ。俺、この高校」


「うっそ・・・私もなんだけど・・・」


「まじで!? なんだよこの偶然~」


 頭を掻き、崩れ落ちる衣玖。


「ちょ・・・大丈夫?」


 苦笑しながらも手を差し出す。


 自然と繋がれた手。なんとなく鼓動が早くなった。


「ははっ、さんきゅ。いや、つい動揺した」


「いいよ。大丈夫」


 そんな風な衣玖が可笑しくて、つい笑ってしまった。


「おいおい、笑うなんて酷いぞ」


 そう言う衣玖の表情も笑っていた。
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