君を愛す ただ君を……
越智君の家出
あたしは、越智君に家まで送ってもらうと、自分の部屋に籠った

明日から、終業式までテスト休みで良かったと、心の底から感謝した

だって、越智君のお母さんには学校にはもう行かないと約束してしまったから…

あたしの気持ちとしては、学校にまだ通いたい

お母さんとのやり取りを知った越智君が傍にいて、学校を休むとなると、越智君がまた怒ってしまいそうで、なんだか怖い

お母さんの要望を聞くと言って、お金を貰ったのに

お母さんの想いを無視して、お金だけで懐にいれて、越智君と一緒にいるのはなんだか申し訳ないというか、罪悪感を感じてしまう

越智君は、貰ったものは貰って、あとは無視しろ…なんて言うけど、無視なんてできないよ

だからといって、越智君と離れるのも嫌だ

「はああ、あたしって我儘だなあ」

スパッと気持ちを切り替えられない己が、少し憎らしく思える

越智君みたいに、ぱっと物事を判断して、行動をしてみたい

越智君は迷ったり、不安に想ったりしないのかな?

自分の行動が間違っているのではないか?って、ただの我儘なんじゃないかって、ふと思ったりしないのかな?

強い意志に、しっかりした考えを持って行動している越智君が羨ましい

あたしは、鏡に映っている情けない表情した自分の顔を見て、哀れな笑みを送った

『ちょっと待ってください!』

突然、ママの大きな声が聞こえた

なんだろう

あたしは手鏡を机の上に置くと、立ち上がった

部屋のドアを開けると、眼前に鬼のような形相をしている越智君のお母さんが立っていた

「え?」

あたしは驚いて、目を大きく開く

綺麗に化粧をして、いかにも高級そうな毛皮のコートに身を包んでいる越智君のお母さん

目を吊り上げて、頬の筋肉をふるふると震わせて、いきなりあたしの頬を叩いた

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