君を愛す ただ君を……
午後1時

「大ちゃん、お待たせ」

あたしはホテルのロビーに降りてきた

カフェオレを飲んでいた大ちゃんが、柔らかい表情で微笑んでくれた

「3時間もごめんね」

「いいよ。きちんとお別れができた?」

あたしは、にっこりと笑顔を作ると頷いた

「越智君、家に帰るって」

「そうか」

大ちゃんがポンポンとあたしの頭を撫でた

大ちゃんの視線がふと上にいった

じっとエレベータのほうを見つめている

あたしは大ちゃんの視線を辿るようにゆっくりと振り返った

制服姿の越智君が、エレベータを降りてきて足を止めてこっちを見ていた

20秒くらいだろうか

越智君と大ちゃんが見つめ合っていた

無表情だった越智君の顔に、温かい表情が生まれると、ぺこりと頭を下げてあたしたちに背を向けて歩き出した

越智君が、フロントに向かう

あたしは床に視線を落とすとぎゅっと拳を作った

「陽菜?」

「大丈夫。越智君、格好良いから。すぐに恋人ができるよね?」

大ちゃんが、ひとさし指であたしの額をツンと突いた

「越智の心配より、自分の将来を考えなよ。越智なら平気だよ。陽菜よりずーっとしっかりしてるから」

「ひどっ…」

あたしは大ちゃんの胸をグーで叩いた

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