君を愛す ただ君を……
越智君が内緒にしててって言ってたのに、あっさりと大ちゃんに言っちゃうなんて

「良いことを聞いたよ」

大ちゃんが目を細めて笑うと、ダイニングのほうに歩きだした

「まだ…言ってないの?」

キッチンで夕食を作っているママの声が聞こえた

言ってない? 何を?

あたしはママの顔を見る

ママはダイニングテーブルに座ろうとしている大ちゃんに視線を向けていた

「ええ。まだ会ったばかりですから」

「そう…」

ママが残念そうな顔をした

何? ママと大ちゃんの中で、何か取り決めみたいなのがあるの?

あたしは居間のソファに座ると、膝を丸めた

大ちゃんの上着が、すっぽりとあたしの膝まで隠してくれた

なんか、居心地が悪い

自分の家なのに、心配されすぎてて、ちょっと息苦しいよ

ママの気持ちもわかる

心配するのは当然のこと

心臓が弱いし、もう医師に言われた寿命の期日は過ぎてる

この心臓はいつ止まってもおかしくない

けれど

あたしの人生だよ?

好きに生きさせてよ

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