君を愛す ただ君を……
思いがけない突然の再会
早いもので、越智君と別れから7年の月日が流れた

あたしは24歳になり、今はいっちょ前に仕事もしてる

手術を受ける前までは、想像もしてなかった人生をあたしは送っている

すべて、越智君のおかげだね

手術の前日に会って以来、越智君とは会ってないね

今はどんな生活を送っているのかな?

年に2回だけ、越智君からメールがくる

元旦に『あけましておめでとう』と誕生日に『誕生日、おめでとう』ってだけ

あたしも、元旦と越智君の誕生日にメールを送ってる

「涼宮主任、今日ですよぉ~! 今年こそ、彼氏ゲッドしましょうねえ」

更衣室で、後輩のマキちゃんが化粧を念入りにしながらあたしに声をかけてきた

「あれ? 今日だっけ」

「そうですよ! 独身イケメンをゲットできるかもしれない重要な日を忘れないでくださいよ!」

マキちゃんが、マスカラでまつ毛を長くしている

あたしは髪を一つにまとめあげると、白い帽子をかぶった

「そっか。今日からかあ」

はあ…とあたしは重たいため息をついた

「なんでため息なんです?」

「だって新人って面倒くさいよ。妙にプライドがあって、あたしたちを馬鹿にしてる感じがするし」

「高給取りの旦那をゲッドするためと思えば!」

マキちゃんがぐっと拳を握りしめる

「ここ…大学病院だよ! それに研修医の給料なんて、雀の涙だよ?」

あたしの言葉に、マキちゃんががっくりと肩を落とす

「涼宮主任…若いのに夢がないよー。仕事ばっかしてるから、病院内最年少で外科の看護主任になんかなっちゃうんですよ? 彼氏の一人や二人…作りましょうって」

「彼氏を二人作ったら、二股じゃない。嫌よ…面倒くさい!」

「発言がすでにババくさいですよぉ」

マキちゃんがグロスを塗り終わると、ぱたんとロッカーの扉を閉めた

「さ、仕事仕事っ!」

あたしはマキちゃんの肩をポンと叩いた

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