君を愛す ただ君を……
夕食を食べ終えて、あたしは部屋に戻った大ちゃんを追いかけた

2階にあるあたしの部屋の隣に、大ちゃんが居候している

大ちゃんの部屋のドアをノックすると、そっとドアノブを捻った

「陽菜? どうした? まだ完全に片付けが終わったわけじゃないから、散らかってるけど……」

「うん、ちょっと話があるの」

「何?」

大ちゃんが、部屋の中心に置いてある大きな段ボール箱をずずっと部屋の端に移動させた

あたしは青い絨毯の上に足を乗せると、大ちゃんが手を差し出した場所に腰を落とした

「大ちゃん、ママに頼まれたんでしょ? 高校教師をやってるから…あたしと同じ学校で仕事をして、あたしを見張ってろって」

「違うよ」

「じゃなきゃ、変だもん。急に学校の送り迎えをする…とか。大ちゃんが部活の顧問になったからって、あたしまで同じ部活に入れなんて、おかしいよ」

大ちゃんが困った顔をしながら、あたしの隣に座った

「まだ言う時期じゃないと思ったんだけど…怪しまれるのは嫌だから言うね。僕、君のご両親に結婚を申し込んだんだ」

「え?」

「陽菜と結婚したいって」

「は? ちょっと待って。大ちゃん、付き合ってる人がいたよね? 中学のとき陸上のマネだった…えっと、確か名前は…」

「死んだよ」

大ちゃんの静かな声に、あたしは目を一気に見開いた

え? 死んだって?

「い…いつ?」

「就職する前に。交通事故だったんだ」

大ちゃんが寂しそうに微笑んだ

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