君を愛す ただ君を……
「どうかな?」

「ええ? それじゃあ、わからないよー」

ミサキちゃんが、食いついてくる

「研修医の密着度から分析するに、高校時代に付き合ってたって感じだよね!」

レイちゃんが指先をたてて、コクンと頷いた

「ですよねえ。じゃなきゃ、いきなりブチューってキスしないよねえ」

マキちゃんも会話に参加をしてくる

「マキちゃん、それはもう忘れてよ」

あたしはマキちゃんの肩をポンポンと叩いた

「それに越智君が海外留学をしてたから、あっちのコミュニケーションが板についたのかも」

「それはないっ!」

マキちゃんがはっきりと断言をした

「だって、あたしがメルアドを教えてもらおうと声をかけたとき…すんごいツンケンした態度だったよ! この研修医、最低って思ってたけど…主任をコンパに連れて来れるならっていう条件を飲んだら、態度が急変してさあ~」

マキちゃんがロッカーのドアを閉めると、丸椅子に座ってブーツのチャックをあげた

「研修医は相当主任を好きだと見た!」

レイちゃんが、楽しそうに口を開く

「ねえ、なんで別れたんですか?」

ミサキちゃんが、不思議そうな顔をする

「だってそんなに研修医が主任を好きなら、高校からずっと付き合ってて、今頃夫婦になっててもおかしくないじゃないですかあ」

「越智君は、親友の彼氏だったの。それにただ研修先に同級生がいたから、ちょっと嬉しくなっただけだよ」

あたしもパタンとロッカーの扉をしめた

「ええ? 親友に隠れて愛を育んだのぉ? なんか禁断の果実って感じです」

マキちゃんが、雄たけびのように叫んだ

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