君を愛す ただ君を……
「ちょ…マキちゃん。勘違いしないでよ、もう」

あたしは「はあ」と息を吐きだした

「まあ、研修医との交際も時間の問題ってとこね」

レイちゃんが、にこっと笑うとあたしのおしりをポンと叩いた

「エッチしたら、ちゃんと報告してねえ」

レイちゃんがニヤリと目の端を輝かせた

「もう…先に外で待ってるからね」

あたしは口をへの字に曲げると、更衣室を出て行った

更衣室のドアを閉めると、あたしはふうっと息をついた

越智君と付き合ってたよ…すごく短い期間だったけど、たくさんの想い出がある

良い想い出も、悪い想い出も、短い日数だったのにいろいろ経験をしたよ

だけど、みんなんには内緒にしちゃった

話すと長くなりそうだし、あたしが心臓に疾患があったっていう過去も話さないとでしょ

隠してるわけじゃないけど、胸に消えない傷痕があって、気持ち悪がられたくないの

今は、普通に生活できるから

できるなら、誰にも知られたくない

「もう終わりかよー、いいよなあ。これからコンパの人はぁ」

頭に重みに加わると男の声が聞こえた

「海東君? 今日は夜勤?」

「日勤+夜勤さらにおまけの日勤と夜勤!」

同期の看護師の海東君が、口の曲げた

「すごいねえ」

「仕方ねえよ。救急センターの看護師が、一気に3人も寿退社したからな」

「じゃあ、夜勤って救急センターの応援?」

「そう。日勤は内科で、夜勤は救急医療センターのほうに駆り出されるわけ」

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