君を愛す ただ君を……
「ちょ…レイちゃんってば。デート中に、すみませんでした」

あたしはぺこっと頭を下げると、レイちゃんの腕を掴んでスタスタと駅のほうに向かって歩き出した

「ああ、私たちモテるから。電車の中で痴漢されたらどうしよー」

レイちゃんが越智君に聞こえるような大きな声で言いながら、二人から去っていった

「もうっ! 軽部先生に睨まれるよ」

「もう十分、睨まれたしぃ。だいたいねえ。仕事中にパンツの見えそうなミニスカートとかさあ。胸の谷間が見えるようなシャツとか着てるのが気に入らないのよ。そんなにスタイルを強調して、仕事したいならすっ裸でやれっていうのよ」

レイちゃんがじたばたと暴れながら、文句をブツブツとつぶやく

「私だって、抜けばそれなりにスタイルはいいのよ。胸だってあるし、足だって綺麗なんだから」

レイちゃんがフンと鼻息を激しく噴射すると、メールを打ち始めた

「今度は何をしているの?」

「ん? 頭に来たから、海東のバカにメールしておくの。どうせ仕事中だから見ないだろうけど」

レイちゃんはそう言いながら、慣れた手つきでどんどんとボタンを打っていった

「苛々しているときは、海東にメールするとすっきりするんだよねえ」

レイちゃんが恥ずかしそうに呟いた

「海東君が好きなんだね」

「一度振られているんだけどね」

レイちゃんが肩を持ち上げて、苦笑した

レイちゃんが送信して数秒後に、携帯が鳴った

「はやっ。海東からだ」

「何だって?」

あたしはレイちゃんの顔を見つめた

「『酒飲んで寝ろ』だってさ」

「レイちゃんは、なんて送ったの?」

「『むかつく』って送ったら、こういう返事が来た」

あたしはがくっと肩を落とした

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