君を愛す ただ君を……
「じゃあ、結婚もきっとママたちに頼まれたんでしょ?」

「違うよ。僕自身で決めた。陽菜のいる高校に転校したのも、この家に居候することにしたのも僕が決めた。おばさんたちが頼んだわけじゃない」

じゃあ、なんで?

つじつまが合わないよ?

だって、大ちゃんがあたしを好きって有り得ないよ

妹っていうならわかるけど…恋人として見るって、なんかおかしい

「だって…大ちゃん、知ってるよね? あたしは生まれつき心臓が弱くて…」

大ちゃんの身体が動いたかと思うなり、ぎゅうっと大ちゃんに抱きしめられた

「知ってるよ。だから、すぐにでも結婚をしたい」

「ちょ…どうして? わからないよ。大ちゃん、どうして?」

「陽菜が好きだよ」

大ちゃん…ぽくないよ

あたしの知ってる大ちゃんは、いつも陸上のことばかりで

1秒でも早く走れるようになるには?ってばかりが頭の中を支配してた

恋愛なんて、二の次で…いつも彼女さんが怒ってるっていう生活だったのに

どうして、あたしなの?

いつ死んでもおかしくないあたしをお嫁さんにするって、何を考えているの?

誰かを失う悲しみを大ちゃんは知っているはずなのに

どうして自ら、苦しい選択をしようとしているの?

「大ちゃん、あたし…」

「待って。答えは聞かない。きっとその顔じゃ、オッケーって言ってもらえそうにないからね」

大ちゃんがあたしから離れると、苦笑して肩をすくめた

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