君を愛す ただ君を……
「涼宮以外の女はいらないって前に言ったよな?」

「うん。高校生のときに聞いたよ…でも、7年だよ? 7年も会ってないし、これから会うかもわからないのに…他の人を恋愛対象で見なかったの?」

「見なかった」

「なんで?」

「会おうと思えば、会えるってどこかで自信があった。年に2回のメールもちゃんと届いてて、返事も来てたし。涼宮の実家だって、そう簡単には引っ越さないと思ってたから。会いたくなったら、涼宮の家に行けばいいって思ってた」

越智君はマグカップを二つ手に持って、居間に来ると、小さな黒いテーブルの上に置いた

緑茶の湯気がふわふわとのぼっていく

越智君は床に座ると、優しい笑顔で微笑んだ

「ずっと会いたかった。この手で抱きしめたかった。でも俺、一人前の男じゃないし。医師として基盤が築けたら、涼宮に会いに行くつもりだったんだ。でも、大学病院で看護師になってる涼宮を見たら、気持ちが加速して…我慢できなくなってた」

越智君が恥ずかしそうに下を向いた

「格好悪くて、俺から話しかけられなかった。気づいてもらえたら、涼宮とまた付き合いたいって考えたのに…それも我慢できなくて。ほんと、俺ってバカだよなあ」

越智君がお茶をずずっと吸った

「あちっ」

越智君の表情が歪むとぺろっと舌を出した

「越智君ってすごいねえ」

あたしはマグカップの置いてある前に腰を下ろすと、越智君の顔を見た

「だからすごくねえって」

「凄いよ。あたし、そんな風に越智君とのことを考えて生きてなかったよ」

「なら、これから考えてよ。まずは、同棲ね」

「え?」

「一緒に住もう」

越智君がにこっと笑うと、あたしの手をぎゅっと握りしめてくる

あたしは越智君の笑顔に負けて思わず、コクンと頷いてしまった
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