君を愛す ただ君を……
「あ、すぐには無理だよ」

嬉しそうに一瞬だけ顔をほころばせた越智君が、あたしの言葉で、むすっとした表情になった

「どうして?」

「どうしてって言われても。女子寮にいるし、仕事の兼ね合いもあるし…それに親にも了承を得ないと」

越智君の肩ががっくりと落ちる

「じゃあ、お互いの休みがかぶったときに、涼宮の家に行こう。きちんと挨拶をしたいから」

「え? 挨拶って?」

「は? ただの同居人のつもりでこの家で生活しよう…なんて思ってないよな?」

「そこまでは鈍感じゃないよ。だけど挨拶って…結婚するわけじゃないんだし」

越智君がにこっと笑うと、あたしの頭を撫でた

「結婚かあ。してもいいけど?」

「え? それはちょっとぉ…」

あたしの頬がひくひくと痙攣した

誰が見ても展開が速すぎだよ、越智君!

再会したのは、今日だよっ

越智君はもっと前からあたしを見ていたかもしれないけど、あたしにとったら、越智君との再会は今日であって

いきなり結婚とかって考えられないよ

「涼宮と一緒に暮らすんだ。挨拶させてよ」

越智君が、あたしの額にキスをした

「ずっと一緒に居たいんだ。だから涼宮の両親に嫌われたくない」

「わかった。休みの日が一緒になったら…ね」

越智君が笑顔で頷くと、立ち上がった

部屋の隅にある棚から、一枚のカードを出すとあたしに差し出した

「これ、合鍵。すぐに一緒に住めないなら、持っててよ。少しでも時間があるなら、涼宮と過ごしたいんだ」

あたしは越智君からカードを受け取った

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