君を愛す ただ君を……
「うーん、どうかな? すぐに同棲するって言われても、ピンとこないんだよね。再会してまだ1日も過ぎてないのに。いきなり過ぎって気がして。越智君のいない生活に慣れてきたなあって思ってたのに…なんか目の前にいる越智君が、越智君って気がしなくて」

あたしはレイちゃんに本心を打ち明けた

夢を見ているみたいなふわふわした気分なんだよね

嬉しい気持ちもあるし、越智君のスーツ姿や白衣姿を思い出すだけで、顔が自然と緩んでしまうあたしがいる

越智君の再会に、ひどく興奮して、ずっと越智君の胸の中で過ごしたいって思ってるよ

不謹慎だと思うけど、越智君のお母さんからの反対がないと思うとすごく心が軽い

越智君と再会してすぐに、越智君のお母さんが頭をチラついたから

一目、越智君を見て、「ああ、あたしはまだ越智君が好きだ」って再確認した

胸がきゅーって苦しくなって、越智君を見ているだけで、涙が出そうになって…

だけどあたしの想いは主張しちゃいけないって心の奥で引き留めてた

越智君のお母さんとの約束があるから

お金を貰って、心臓の手術をした過去がある

消したくても、消えない胸の傷と同じく、消えないお母さんとの約束がある

だから、越智君を見て嬉しさと同時に恐怖も生まれた

この感情を隠す自信がなくて、越智君に他に好きな人がいれば、諦められるかな?なんて考えたけど

越智君にしぃちゃんという彼女がいても、あたしは気持ちを隠しきれなかった

きっと今回だって、いつかは隠せなくなる

欲望と願望が爆破して、あたしは越智君を求めてしまう

越智君のお母さんが離婚して、もうあの家にはいないのだと知った時は嬉しかった

越智君と付き合っても、平気なのだとほっとしているあたしがいた

「そういえば、あの研修医ってさ。軽部女医と婚約してるって言ってたよね? 付き合うって大変じゃないの?」

「あ…それが、婚約してないんだって。断ったらしいんだけど、いろいろとあるみたい」

あたしが肩をすくめた

「あの女医の片想いかぁ。権力と先輩という立場で、研修医を手に入れようとしているわけね」

レイちゃんが腕を組んで、深く頷いた
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