君を愛す ただ君を……
「何なの、あのバカ女。たかが嫉妬で、仕事を振りまわさないでよね。何を考えてるのよ、バカじゃないの?」

レイちゃんが唇を噛みしめると、苛々した気持ちを言葉にする

「レイちゃん…ごめんね」

あたしが謝ると、レイちゃんがあたしの肩を叩いた

「陽菜のせいじゃないでしょ。公私混同もいいとこなバカ女のせいよ。許せない。もう…絶対に、陽菜とあの研修医をくっつけてやる」

レイちゃんがバシバシとあたしの肩を何度も叩いた

「レイちゃん…ちょっと、痛いってば」

あたしがレイちゃんの肩への連打から逃れるために、身体をくねらせていると、レイちゃんの前に海東君が割ってはいってきた

「凶暴女、主任に何やってんだよ」

「ちょ…海東、どいてよ。今、陽菜に活を入れてるんだから」

「はあ?」

海東君がわけのわからない顔をしながら、あたしにファイルを渡してきた

レイちゃんは、良い標的が見つかったと言わんばかりに、海東君の背中をバシバシと叩き始めた

「今朝、センターから外科にまわてきた患者のファイル。引継ぎに行ったヤツがまだ新人でさ。ファイルを届けるのを忘れたって言ってたから」

「あ…ありがと。ドクターに渡しておくよ」

「サンキュ」

海東君が大きな欠伸をした

「眠そうだねえ」

「まあね。今夜を乗りきれば、明日はゆっくりできる」

海東君が、苦笑した

「いいわよね。明日から私は地獄よ」

レイちゃんが、海東君の足を蹴った

「はあ? んだよ、俺に突っかかるなよ」

「いいの。レイちゃんは…」

「いや、良くねえだろ、涼宮。痛いのは俺だっつうの」

海東君が、レイちゃんに蹴られた脛を擦った
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