君を愛す ただ君を……
「レイちゃん、明日から支部の小児科に異動になったから」

あたしが海東君に教えた

「ああ? お前が小児科? ガキ嫌いのお前が? 有り得ねえ」

海東君が首を左右に振った

「うっさいのよ!」

「治療を受ける子供が可哀想だ」

「うっさいって言ってるでしょ」

レイちゃんが、海東君の大事なところに蹴りを入れた

海東君の顔が歪むと、床に蹲った

「お前はぁ……」

声にならない悲鳴をあげると、海東君がレイちゃんを睨んだ

「私、見回りに行ってくる!」

レイちゃんがふんっと鼻を鳴らすと、つかつかとナースステーションを出て行った

「俺を置いて、逃げるなっつうの!」

痛みを堪えながら、海東君が立ち上がると顔を真っ赤にさせていた

「海東君、少しいい?」

「あ? ああ…」

海東君があたしの顔を見ると、時計を見て頷いた

「マキちゃん、何かあったらピッチで呼んで」

「わかりましたー」

マキちゃんが元気よく手をあげた

あたしはマキちゃんの姿を微笑ましく眺めながら、海東君と歩き始めた

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