君を愛す ただ君を……
『今日はもう帰っていいわ。動揺した看護師に、このままいられて、また迷惑をかけられても困るの』
あたしは処置室の前の長椅子に座ったまま、呆然と『処置室』と書かれてあるドアの文字を眺めていた
「やっぱりここに居た」
越智君が、血だらけのワイシャツにスーツの上着を羽織って立っていた
「あ…越智君。今日はありがとう。井上先生に聞いたよ。越智君が処置してくれなかったら、大ちゃんは死んでたって」
「医者として当然のことをしたまで…と、言いたいけど。俺も必死だった。知り合いの手術を目の当たりにしたのは2度目だけど、やっぱきついや」
越智君があたしの隣に座ると、すっとあたしの手を握ってくれる
「2度目?」
「1度目は、涼宮の手術を見た。心臓外科医になろうって思ったときだったから、親父に頼んで見せてもらったんだ」
越智君が苦笑した
「手術を受けて大変な思いをしてるのは涼宮なのに、俺のほうが顔面蒼白で…途中、ぶっ倒れてた」
「越智君が?」
「俺だって、なんでもできるわけじゃないよ。初めて人の内部を肉眼で見たんだ。そりゃあ、それなりの反応をするさ」
越智君、近く居てくれたんだ
ならあの暗闇で会話したのは、夢じゃなくて、越智君本人だったのかな?
「大ちゃんを助けてくれて、本当にありがとう。あたし、こんなに動揺して、何もできなくなるなんて思わなかった。看護師失格だね」
「通常の反応だろ? 誰だって、担ぎ込まれてくるのが親族だとは思わねえもん」
「さあ、あたしも帰ろう」
「え?」
越智君が驚いた顔をした
「軽部先生にね。これ以上、迷惑をかけられたくないから帰れって言われたの」
「じゃあ、送っていくよ…ていうか。俺の家に来てほしい」
越智君があたしの手の甲にキスを落とした
「勝負下着じゃないけど…」
「気にしないよ」
越智君がにこっと笑った
あたしは処置室の前の長椅子に座ったまま、呆然と『処置室』と書かれてあるドアの文字を眺めていた
「やっぱりここに居た」
越智君が、血だらけのワイシャツにスーツの上着を羽織って立っていた
「あ…越智君。今日はありがとう。井上先生に聞いたよ。越智君が処置してくれなかったら、大ちゃんは死んでたって」
「医者として当然のことをしたまで…と、言いたいけど。俺も必死だった。知り合いの手術を目の当たりにしたのは2度目だけど、やっぱきついや」
越智君があたしの隣に座ると、すっとあたしの手を握ってくれる
「2度目?」
「1度目は、涼宮の手術を見た。心臓外科医になろうって思ったときだったから、親父に頼んで見せてもらったんだ」
越智君が苦笑した
「手術を受けて大変な思いをしてるのは涼宮なのに、俺のほうが顔面蒼白で…途中、ぶっ倒れてた」
「越智君が?」
「俺だって、なんでもできるわけじゃないよ。初めて人の内部を肉眼で見たんだ。そりゃあ、それなりの反応をするさ」
越智君、近く居てくれたんだ
ならあの暗闇で会話したのは、夢じゃなくて、越智君本人だったのかな?
「大ちゃんを助けてくれて、本当にありがとう。あたし、こんなに動揺して、何もできなくなるなんて思わなかった。看護師失格だね」
「通常の反応だろ? 誰だって、担ぎ込まれてくるのが親族だとは思わねえもん」
「さあ、あたしも帰ろう」
「え?」
越智君が驚いた顔をした
「軽部先生にね。これ以上、迷惑をかけられたくないから帰れって言われたの」
「じゃあ、送っていくよ…ていうか。俺の家に来てほしい」
越智君があたしの手の甲にキスを落とした
「勝負下着じゃないけど…」
「気にしないよ」
越智君がにこっと笑った