君を愛す ただ君を……
「そうなんだ」

ナイフでの刺し傷だったから、驚いたけれど…そういう理由があったんだね

てっきりオヤジ狩りにでも遭ったのかと思ったよ

大ちゃんも、オヤジ狩りに遭うほど年をとったのかな?なんて思っちゃったり

いけない従妹だね、あたし

大ちゃんがまだ独身なのは、あたしのせいなのに

「あ…怒らないのか?」

「え? なんで?」

あたしはキョトンと目を開けると、男の顔を見つめた

男の子は、まるで捨てられた子犬のような寂しい目であたしを見ている

肩幅を縮めて、怒られる覚悟はできてます、と言わんばかりの態勢だった

「だって、俺のせいで岡崎が…」

「生きてるし。大ちゃんが行きたくて行ったなら、いいんじゃない」

「そういう問題なのか?」

「大ちゃんが考えて、選んだ道だし。あたしが怒る権利なんてないよ。で、君は、どうしてここにいるの?」

「怪我の具合を知りたくて…それに、謝ろうと思って」

「じゃあ、中に入ろうよ」

あたしは、男の子の手を取った

「あ…一人で歩けるし…」

男の子が頬を赤く染めると、ばしっと手を振り払われた

「ごめん」

「別に…いいけど」

男の子がぷいっと横を向いてしまう

あたしは思わず口元が緩んでしまう

なんか、すごく可愛い

見た目は、夜中のコンビニ店でたむろってそうな怖いイメージの子だけど

中身は違うみたい

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