君を愛す ただ君を……
「ちょ…待ちなさいって言ってるでしょ! 何回、言ったらわかるのっ。アナタは絶対安静なのよ」
軽部先生の大声が聞こえたと思ったと同時に、センターの扉が開いた
病院の検査着を着たままの大ちゃんが、よろよろと歩いて出てきた
大ちゃんが、あたしたちに気がついて、にっこりと笑った
「陽菜に、大輔じゃないか。どうしたんだ?」
大ちゃんが明るい声を出す
青白い顔で壁に手をつきながら、前へ前へと必死に足を出している
「大ちゃんっ! 寝てなくちゃ駄目じゃない」
「寝てなくても平気だって。ほら、こうやって歩けるんだし」
支えようと駆け寄ったあたしの手を大ちゃんが振り払った
「ベッドに戻りなさい! 何度、私に治療されれば気が済むのよ」
軽部先生が、こめかみに青筋をたてながら、怒鳴った
「姉貴?」
金髪の男の子が、軽部先生の顔を見て驚いた顔をした
「大輔…ここで何をしているの?」
軽部先生が信じられない光景を目にしたかのように、目を丸くした
「アナタみたいな子が来るところじゃないわ。さっさと帰りなさい」
軽部先生が腕を組んで、冷たい口調で言い放った
金髪の男の子は「ちっ」と舌打ちをすると、落ち着きなく足踏みをした
この男の子…軽部先生の弟?
随分と、年の離れた弟がいるんだね
「大ちゃん、どこに行こうとしているの?」
「家に帰って着替えて、出勤するんだよ」
「そんな怪我で、仕事なんてできないよ」
「ちょっと切っただけだよ」
「だーめっ。さあ、ベッドに戻って」
あたしはまた大ちゃんの腕を掴もうとするけど、拒否された
「何よ、意地っ張り!」
「僕が平気だって言ってるんだから、平気なの」
「真っ青な顔して、家に帰る前に倒れて、車にひかれて死んじゃうよ?」
「平気だって」
「平気じゃないの」
あたしとの問答に飽きたのか、大ちゃんが歩幅を広くして前に突き進んでいく
その進行を遮ったのは、白衣を着ている越智君だった
大ちゃんの前に立ちはだかって、壁をバンと強く叩いた
軽部先生の大声が聞こえたと思ったと同時に、センターの扉が開いた
病院の検査着を着たままの大ちゃんが、よろよろと歩いて出てきた
大ちゃんが、あたしたちに気がついて、にっこりと笑った
「陽菜に、大輔じゃないか。どうしたんだ?」
大ちゃんが明るい声を出す
青白い顔で壁に手をつきながら、前へ前へと必死に足を出している
「大ちゃんっ! 寝てなくちゃ駄目じゃない」
「寝てなくても平気だって。ほら、こうやって歩けるんだし」
支えようと駆け寄ったあたしの手を大ちゃんが振り払った
「ベッドに戻りなさい! 何度、私に治療されれば気が済むのよ」
軽部先生が、こめかみに青筋をたてながら、怒鳴った
「姉貴?」
金髪の男の子が、軽部先生の顔を見て驚いた顔をした
「大輔…ここで何をしているの?」
軽部先生が信じられない光景を目にしたかのように、目を丸くした
「アナタみたいな子が来るところじゃないわ。さっさと帰りなさい」
軽部先生が腕を組んで、冷たい口調で言い放った
金髪の男の子は「ちっ」と舌打ちをすると、落ち着きなく足踏みをした
この男の子…軽部先生の弟?
随分と、年の離れた弟がいるんだね
「大ちゃん、どこに行こうとしているの?」
「家に帰って着替えて、出勤するんだよ」
「そんな怪我で、仕事なんてできないよ」
「ちょっと切っただけだよ」
「だーめっ。さあ、ベッドに戻って」
あたしはまた大ちゃんの腕を掴もうとするけど、拒否された
「何よ、意地っ張り!」
「僕が平気だって言ってるんだから、平気なの」
「真っ青な顔して、家に帰る前に倒れて、車にひかれて死んじゃうよ?」
「平気だって」
「平気じゃないの」
あたしとの問答に飽きたのか、大ちゃんが歩幅を広くして前に突き進んでいく
その進行を遮ったのは、白衣を着ている越智君だった
大ちゃんの前に立ちはだかって、壁をバンと強く叩いた