君を愛す ただ君を……
「よく…わかんないんだけど。すぐにセンターに来てって」

「なんだろうな。仕事が終わったら、ピッチに連絡入れるね」

「うん」

あたしは愁一郎に頷くと、ナースステーションを出てエレベータに向かった

なんだろう…軽部先生から連絡が来るなんて

最近は、大ちゃんが怪我して病院に来るたびに、事後報告でピッチにメールが来ることはあったけど…って、また大ちゃんが大怪我をしたとか?

軽部先生の弟って、地元では結構有名な不良グループに在籍していたことがあったらしくて

今も抜けきれなくて、大ちゃんがそのたびに不良グループと喧嘩しては、軽部先生に治療してもらっていた

大ちゃんが、誰かと喧嘩をするなんて最初は考えられなかったけれど、今はちょっと凄いなって思ってる

人間って、一度痛い思いをしたら、そこから逃げたくなるのに…大ちゃんったら気にせずに、生徒のためにって不良グループと堂々と喧嘩をしてるんだもん

尊敬しちゃうなあ

クリスマスイブの今日も、軽部先生の弟のために、喧嘩をしたのかな?

誰かとデートでもすればいいのに…大ちゃんなら、すぐにデートしてくれる女性を見つけられそうなのになあ

あたしはサンダルの踵をぺたぺたと鳴らしながら、廊下を突き進んでいく

処置室という表示が見えてくると、壁に寄りかかっている軽部先生の弟と目があった

「涼宮さんっすよね?」

「こんにちは…って、もう、こんばんはかな?」

あたしは大輔君に挨拶をしていると、彼にきゅうに抱きつかれた

「すんませんっ。俺のせいっす」

「え? あ…ええ? 何が?」

あたしは驚いて、大きな声を出した

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