君を愛す ただ君を……
あたしはココアから立ち上る湯気をじっと見つめた

大ちゃんの人生、これからだったのに…どうして心臓が止まっちゃったの?

どうしてあたしの心臓は今も動いているんだろう

「陽菜、悲しい顔をしていたら、岡崎が悲しむよ」

あたしは愁一郎の肩に頭を乗せた

ココアが入っているマグカップが、90度回転する

「明日になったら……笑うから。今日は、泣きたいよ。突然過ぎて、携帯に電話をしたら、『なあに?』って出てくれそうな気がする」

「陽菜…、岡崎なら近くにいるよ。陽菜の心の中に。俺の心の中にも、岡崎はいる。いつも笑顔で、笑っていてくれる」

「うん…そだね」

あたしは、愁一郎に抱きつくと声をあげて泣いた

愁一郎の広い胸に、顔を埋めて涙が枯れるまで、あたしは泣き続けた

大ちゃん、どうして死んじゃったの?

どうして、呼吸が止まっちゃったの?

どうして、あんな大怪我になるまで相手に立ち向かったの?

逃げればよかったのに…

逃げても、誰も怒らないよ?

責めないよ?

逃げて、生き延びてくれたほうが…よっぽど良かったのにぃ

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