君を愛す ただ君を……
「痛いの? 発作が多いの?」

大ちゃんの顔が曇る

「発作の回数がちょっとずつだけど、増えてる。でもパパやママには内緒にしてて。心配するから」

「病院に行こう」

あたしは首を横に振る

「嫌だ。生活を制限されたくない。このままがいい」

「陽菜、少しでも長く生きれるように…病院に」

「長く生きれなくていいの。もう少し越智君と一緒に過ごせる高校生活が送られれば、それだけで幸せだから」

あたしはそっと自分の胸に手を置いた

「陸上のマネのときは、必ず温かい格好をして来いよ」

「うん…わかってる。ちゃんと着込むから」

「なら、もう戻りなさい。越智愁一郎が目覚めるまで、僕が責任もって見てるよ。そんな薄着で外にいたら、心臓に負担がかかる」

「ありがと」

大ちゃんが首を横に振った

寂しい目をしていた

大ちゃんの目頭が赤くなってる

泣きたい気持ちをこらえてるときの大ちゃんの顔だった

ごめんね

大ちゃんにまで、迷惑をかけてる

あたしは立ち上がると、校舎内に戻った

「あ…パン」

片手に一つしか持ってないことに気付いた

「ま、いっか」

あたしが食べなければいいんだし

また戻っても、大ちゃんに心配をかけさせちゃうだけだから

あたしは、上履きに履きかえると階段を上った

また心臓が痛みを訴えた

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