君を愛す ただ君を……

そっか

そういうことね

岡崎さんにも心の中で秘めている人がいるのね

その人以外なら、誰でもいいのよ、人生の伴侶なんて…

「私、帰ります」

「え？」

「は？」

私は、驚いた顔をしている岡崎さんの反応にびっくりした

なんで、そんな顔をしているの？

私を抱けるかも…みたいな期待でもしてたの？

そうよね、所詮男だもの

家にあげるイコールエッチなことをするっていう合図みたいなものじゃない？

私だって、家にあがる時点でオッケーサインを出したって見られてもおかしくない

「あ、ああ…そうだよね。家に送るっていう話をしてたのに。ごめん、ごめん」

岡崎さんが、棚に置いてある写真立てをさり気無く伏せると、笑った

「別にいいわよ。抱いても」

私はワンピースのチャックを下までおろして、床の上に落とした

「はい？」

岡崎さんが、目を丸くした

え？　違うの？

私の下着姿を見た岡崎さんが、視線を横に逸らした

「ちょ…ちょっと何をしてるのっ！　ふ…服を着て」

「だって、抱くつもりで家にあげたんじゃないの？」

「そんなつもりなんて全然、ないよ。ただ話をしたくて…」

「全然ないの？　そんなに私って魅力ない？」

「いや…そうじゃなくて。軽部先生はもちろん魅力的な女性だよ」

「じゃあ、抱いてよ。私、今、すごく誰かに抱かれたいの。アナタが抱いてくれないなら、ここを出て行って、そこら辺にいる男をナンパするから」

自分が馬鹿らしく思えた

なんで貧乏教師なんかを脅してまで、エッチしようとしているのだろう？

もっとお金を持っていて、私を抱きたいって言う男なら、携帯のアドレスを開けば何人でもいるというのに

どうして私は、目の前にいる男を縛ろうとしているのだろう