君を愛す ただ君を……
一階と二階の階段と途中で、あたしは蹲った

昨日より、痛みが増している

呼吸が浅くなり、冷や汗も噴き出した

今までも痛くなっても、平気な振りができたのに

今日はちょっと辛いよ

胸を抑えると、あたしは瞼を閉じた

痛いの…早く飛んで行って

お願いよ…早く

まだ死にたくない

「涼宮、寒いのか?」

ばさっと上から、何かが振ってきた

顔を上げると、越智君が半袖の運動着で立っていた

「お…ち、君?」

「寒いなら貸してやるよ。土まみれだけど。無いよりはいいだろ」

越智君がにこっと笑うと、大きな手であたしの頭を撫でてくれた

「あ…ありがとう」

「洗わなくいいよ。どうせ放課後も使うから。温まったら、返してね」

越智君がそう言いながら、あたしより2,3段上のところで腰を下ろして座った

「越智君?」

「ん?」

「教室に戻らないの?」

「まだ昼休み中だし。そのパンがすごく魅力的で動けない」

「え?」

あたしは手の中にあるパンに視線を落とした

さっきの発作で、随分と形が変形してしまったパンを、あたしは前に差し出した

「こんなので良ければ」

「ありがと」

越智君がパンを受け取ると、たった三口で食べきってしまった

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