君を愛す ただ君を……
胃の中身が逆流しそうになるのを堪えると、私はよろよろと立ち上がった
「はあ…、もう帰りたぁい」
「じゃあ、帰る?」
え?
鏡に映っている大樹の姿を見てから、私は振り返った
「ひぃ…な、なんでここにいるの?」
いや、店にいるのは知ってたけど…トイレの中になんでいるの?っていう質問だからね…と心の中で呟いてみる
が、声に出すことはなかった
だって、大樹の顔がすごく怖くて、私よりも噴火寸前のマグマが溜まってる感じだったから
怖くて、口が開けなかった
「『なんでここにいるの?』っていう質問、僕もそのまま君に返したいんだけど」
「あ…えっとぉ。お手洗いを借りたの。ほら、見てよ。見事に伝線しちゃって。これじゃあ、帰るのに恥ずかしいなあって…あっ、別にここでバイトとかしてるわけじゃないからね」
「彩香、僕…今、君の冗談に付き合えるほど、心に余裕はないよ」
大樹の鋭い目に、私は薄笑いを浮かべながら、少しずつ横移動をして、トイレの個室に入った
「彩香っ!」
「ちょ…ちょっと待って! ストッキングが気持ち悪いのよ。男にはわからないでしょうけど…伝線したストッキングって、もうあり得ないくらい不快感を私の身体に与えるのよ。一秒でも早く新しいのに替えないと、もっと伝線して見っとも無くしてやるぅっていうストッキングの叫び声が聞こえるのよ」
大樹のため息が聞こえた
私はストッキングを脱ぐと、小さく丸めて鞄の奥底に突っ込んだ
脱いだのはいいけど…個室から出たら、また大樹の怖い顔と対面しないとなんだよね
どうして、あんなに怒っているのか…って私も大樹に怒ってたんだけど
そうよ! 私は怒ってたのよ
若い女の子に囲まれて、楽しそうに笑っちゃってさ
「はあ…、もう帰りたぁい」
「じゃあ、帰る?」
え?
鏡に映っている大樹の姿を見てから、私は振り返った
「ひぃ…な、なんでここにいるの?」
いや、店にいるのは知ってたけど…トイレの中になんでいるの?っていう質問だからね…と心の中で呟いてみる
が、声に出すことはなかった
だって、大樹の顔がすごく怖くて、私よりも噴火寸前のマグマが溜まってる感じだったから
怖くて、口が開けなかった
「『なんでここにいるの?』っていう質問、僕もそのまま君に返したいんだけど」
「あ…えっとぉ。お手洗いを借りたの。ほら、見てよ。見事に伝線しちゃって。これじゃあ、帰るのに恥ずかしいなあって…あっ、別にここでバイトとかしてるわけじゃないからね」
「彩香、僕…今、君の冗談に付き合えるほど、心に余裕はないよ」
大樹の鋭い目に、私は薄笑いを浮かべながら、少しずつ横移動をして、トイレの個室に入った
「彩香っ!」
「ちょ…ちょっと待って! ストッキングが気持ち悪いのよ。男にはわからないでしょうけど…伝線したストッキングって、もうあり得ないくらい不快感を私の身体に与えるのよ。一秒でも早く新しいのに替えないと、もっと伝線して見っとも無くしてやるぅっていうストッキングの叫び声が聞こえるのよ」
大樹のため息が聞こえた
私はストッキングを脱ぐと、小さく丸めて鞄の奥底に突っ込んだ
脱いだのはいいけど…個室から出たら、また大樹の怖い顔と対面しないとなんだよね
どうして、あんなに怒っているのか…って私も大樹に怒ってたんだけど
そうよ! 私は怒ってたのよ
若い女の子に囲まれて、楽しそうに笑っちゃってさ