君を愛す ただ君を……
新居が決まった

大樹の職場である高校の近くに、新築のマンションが建ったから

大樹がローンを組んで、購入してくれた

年が開けたら、入籍をして一緒に住もうって言ってくれた

10月には、大樹がその新居に引っ越しをして、少しずつ家具も揃えていってる

二人で家具の雑誌を見て、気に入ったのをネットで買って、大樹が家の中に設置してくれている

「3カ月になりますね。順調に育ってますよ」

私は同期の医師から白黒の写真を受け取ると、ヒールのない靴に足を入れた


まだ、大樹には内緒なんだ

クリスマスは一緒に過ごせそうだから、そのときに話をしようと思ってるの

それまでは、妊娠は秘密

驚かせたいし…大樹が喜ぶ顔を直接見たいから

私は産婦人科を出ると、ピッチのメールに気がついた

『今夜は帰りが少し遅くなるかもしれない』

大樹からのメールだった

確か、今日は2学期の終業式だけだから早く帰れるって言ってたのに…

『どうしたの? 仕事で何か問題でも?』

『違うよ。大輔君から相談を受けちゃって』

また?

私は、胸の中で怒りが込み上がった

どうして大輔の相談になんてのってるのよ

何度も何度も、不良グループを抜けたいって相談しては、大樹を裏切ってるじゃない

すぐに不良の友達のもとに戻って、悪さをしてる

この前は、万引きだっけ?

店に大樹が呼び出されて、頭を下げたじゃない

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