君を愛す ただ君を……
中から出てきたのは、クリスマスカードとネックレスだった

ダイヤを大切そうに抱えている天使のネックレスが、ケースの中に入っていた

『メリー・クリスマス!』

カードの表面には、大ちゃんの手書きでそう書いてあった

『妊娠おめでとう! 彩香が内緒にしようとしてるから、僕も知らないふりをしてるけど…そろそろ言ってくれないと、僕も我慢ができないよ。僕だって、彩香と一緒に喜びたいんだから。ありがとう、彩香。これからも一緒に年を重ねて行こう』

「馬鹿ね。もう一緒に年を重ねられないじゃない」

軽部先生が、寂しそうに微笑むとクリスマスカードを閉じた

妊娠?

軽部先生、妊娠してるの?

「あ…あの…」

「3カ月なの。今日、二人でクリスマスパーティをしたときに妊娠の話をしようと思ってたんだけど……言わなくてもバレてたみたい」

軽部先生の頬に一筋の涙が零れた

「もう…やだっ。泣きたくないのに、涙が勝手に出るのよ」

「軽部先生……」

「涼宮さん、今夜一緒に居てくれない? 一人じゃあ耐えられない」

「わかりました」

「じゃあ、俺は一度、帰るよ」

愁一郎が、軽く手を挙げると、気をきかせて静かにマンションを出て行った

あたしと、軽部先生は居間にある二人掛けのソファに並んで座ると、大ちゃんの想い出話に花をさかせた

3時間も話せば、外は明るく色づき始めた

カーテンの隙間から、朝日が入り込み、その光が目に染みた

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