君を愛す ただ君を……
午前7時になると、私の携帯が鳴った

愁一郎からだった

「もしもし?」

『軽部先生も陽菜も、今日から4日間の休みが貰えたよ』

「え?」

『陽菜はもともと岡崎の親戚だから、忌引きで仕事は休める。軽部先生は、まだ身内じゃないから…でも俺が、先生の代わりでセンターの仕事をするから。二人で最期のお別れをしてきて』

「そしたら…愁一郎が…」

『俺はいいよ。俺が葬式に行くより、陽菜や軽部先生のほうが岡崎が喜ぶでしょ? それと今朝のニュースは見ないほうがいい』

「なんで?」

『岡崎のニュースがやってる。犯人は全員、掴まったみたいだけど。キツいだろ?』

「あ…うん」

あたしの隣にいた軽部先生が、リモコンに手を伸ばすとテレビの電源を入れた

たぶん、愁一郎の声が聞こえたんだと思う

本当に、やってた

テレビ画面に大ちゃんの写真がでている

『教え子を守るために、命を落とした高校教師』というタイトル画面が右下に表示されている

「じゃあ…電話切るね」

あたしは、テレビに視線を奪われたまま、愁一郎との電話を切った

「大樹は一晩で有名人ね」

「犯人は全員、掴まってるみたいです」

「犯人なんてどうでもいい。どうせ掴まったヤツらなんて、罪の重さを理解しないで、親の金で出所しちゃうんだろうし。大樹を殺したことさえ、何とも思ってないのよ」

軽部先生がテレビを消すと、はあっと重苦しい息を吐いた

「被害者の犯行は見逃すっていう法律があればいいのに…そしたら、私…」

「軽部先生っ」

「冗談よ」

軽部先生が力なく微笑むと、身体を小さく丸めた

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