君を愛す ただ君を……
ピンポーンと、室内に呼び鈴が鳴り響いた

あたしと軽部先生が、顔を見合わせる

「誰だろう」

あたしは立ち上がると、インターフォンの画面にに映った男の顔をじっくりと見つめた

「はい…」

『岡崎先生のご自宅でよろしいでしょうか?』

40代後半の男が、スーツの襟を正しながら口を開いた

「そうですけど」

あたしが答えると、男がほっとした顔をして、画面に顔を近づけてきた

『わたくしは、佐々木京介の父で…その、今回の件で…お詫びを…』

軽部先生がソファから立ち上げると、あたしの隣に立った

「どうぞ、お入りください」

軽部先生が、自動ドアの解除ボタンを押した

「いいんですか?」

「どんなお詫びをするのかしらね。人の命を奪って、どんなお詫びができるのか。ちょっと気になって」

軽部先生が、力のない言葉を出した

3分も待たなかったと思う

玄関の呼び出し音が鳴って、あたしと軽部先生が玄関に向かった

ドアを開けると、喪服姿の男がびっちりと髪をセットして、黒いスーツケースを持って立っていた

「このたびは、ご愁傷様でした」

ぺこっと頭をさげた男が、ぐいっと玄関の中に入ってきた

男の後ろには、学校の制服を着ている男子がぶすっとふくれっ面で立っていた

大ちゃんの学校だ

この子は、大ちゃんのいる学校に通ってるんだ

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