君を愛す ただ君を……

大ちゃんを殺したメンバーの一人の家族なのだろう

本人は警察にいるはずだから、たぶん弟？なのかな

なんで俺がこんなことをしないといけないんだ…て感じなのかな？

「なにか？」

軽部先生が、怖い顔をして、４０代の男に目をやった

「息子がとんでもないことをしてしまって…大変申し訳ありませんでした。これはほんのお詫びでして…」

男が黒いスーツケースに入っている札束をちらっと見せると、玄関に置いた

「あの子には母がおりませんで。再婚して新しい妻とは、折り合いも悪く……その、不良のようなまねごとを…」

「真似ごと？」

軽部先生の声が低くなった

それと同時に、男の頭から液体が降ってきた

え？

あたしは目を丸くして、男の頭の上を見つめた

男の息子だと思われる制服の子が、無表情で炭酸のジュースを頭からかけている

「ちょっと…何をしているの？」

軽部先生も驚いたようで、男の子に口を開く

「まねごとじゃねえだろ…くそオヤジ」

男の子は二本目のジュースのキャップを開けると、また頭からかけた

「慎也…！」

４０代の男が振り返ると、男の子の名前であろう名を怒鳴った

「すみません。京介の弟なんですけど…兄とは仲が悪くて」

「当たり前だろ。あんな最低な人間は兄貴じゃねえよ…てか、あんた本当に謝る気があんのかよ。人の命をどう思ってんだよっ。頭が高ぇんだよ。自分の息子の後始末してんだろ。土下座しろよ」

なんて…子なのだろう

４０代の男が、大ちゃんの玄関から息子を追い出してから、再び頭をさげた

土下座ではなく…営業マンみたいなお辞儀だった