君を愛す ただ君を……
『今日は実家に帰るね』

愁一郎にそれだけメールしてから、あたしは実家に帰った

一人でゆっくりと考えたかったの

どうしたらいいのか

妊娠する前は、絶対に妊娠したら産みたいって思ってた

それが女として当たり前の行動かと思ってたから

だけど実際に妊娠してみたら、どうしたらいいのかわからなかくなった

母子ともに健康な状態で出産できる確率が20%をきっているって…どういうことなのか、イマイチ理解ができないの

5人に1人が、元気な赤ちゃんを産んでるってこと?

それ以外の4人は、どうなってるの?

赤ちゃんが助かるの?

母体のほうが助かるの?

それとも両方とも助からないの?

愁一郎の子供を産みたい…けど、絶対に産める確率は低い

現実に、お腹の中にいると思うと、判断が鈍るよ

産みたい

でも、生きたい

赤ちゃんの顔を見たい

だけど、あたしもこの手で赤ちゃんを抱きたい

世に産み落とすだけで、精一杯の人生になりたくない

もしあたしが死んだら、子供はどうなるのだろう?

愁一郎が子育てをしてくれるの?

でも愁一郎は仕事が厳しいし、忙しい

仕事によっては3,4日帰ってこないときもある

そういうときは、誰が面倒みるのだろう

あたしのママ?

ママだってパートをしているよ

毎日、家にいるわけじゃない

じゃあ、保育園?

それとも愁一郎のお父さん? お父さんの恋人?

あたしがいないってだけで、子供は誰に育てられるのかわからないなんて…

あたしが死んだら…愁一郎はどうするのだろう?

あたし以外の人を好きなって、結婚をして……あたしとの子をその女性に任せるの?

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