君を愛す ただ君を……
「改めて。妊娠、おめでとう」

仕事を終えて家に帰ってきた愁一郎が、あたしにプレゼントをくれた

小さな花束と、前にあたしが欲しいなあと言っていたブランドのショルダーの鞄を買ってきてくれた

大輔君も、愁一郎からメールを貰っていたらしく、豪華な夕食を作ってくれた

食卓の上に、愁一郎からもらった花を飾ってから、三人で食事をした

楽しい会話をしながら、ご飯を食べていると家の呼び鈴が鳴った

「誰だろ?」

あたしは席を立つと、玄関のほうへと歩き出した

マンションのエントランスの呼び鈴音ではなく、玄関の前にあるインターフォンの音だったので、あたしはドアのロックを外すと玄関のドアを開けた

「はーい……」

サンダルに足を引っ掛けて、ドアの隙間から相手を見たあたしは、前に立っている相手にいきなり平手打ちをされた

「この泥棒猫っ!」

女性の金切り声が、脳天を貫く勢いで響いた

え?

「陽菜っ、どうした?」

玄関から聞こえてきた女性の驚いたのか

愁一郎が小走りで玄関に出てきた

「お袋?」

愁一郎の低い声が、あたしの背後から聞こえてきた

そう…あたしの頬を叩いたのは、愁一郎のお母さんだった

全身ブランドの服で固めているお母さんは、あたしを凄い形相で睨んでいる

もう一度、手を振り上げたのを目にしたあたしは、目を閉じて身を縮めた

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