君を愛す ただ君を……
そう…きっかけを作るなんて、あたしにはできない
あたしの世界には、愁一郎しかいないから
記憶を失う前の愁一郎だけが、あたしの求める唯一の人であり、それ以外の人はいらない
興味もない
だから今の越智先生は、あたしの求める人じゃない
今の越智先生が、誰と付き合おうとあたしの知ったことじゃない
…でも、あたしの求める愁一郎と同じ顔をしている越智先生が、あたし以外の誰かを抱き寄せるのを見るのは胸が痛い
見合い相手の椎名さんとは一体、どこまで進んでいるのだろうか?
つい考えてしまったら、もうそこからは泥沼だ
抜けだせない
ドロドロした嫉妬があたしの身体を覆い尽くす
記憶を失っても、越智先生は『愁一郎』だ
あたしが愛した愁一郎の身体で、他の女性を愛す
そう考えると思うと、行き場のない怒りと悲しみがあたしの胸を支配した
「はあ…深く考えるな、あたしっ」
あたしは両手で、自分を頬に活を入れるとベンチを立ち上がった
「うまそうだな…その弁当。残すのかぁ?」
ベンチの裏から、声がしてあたしが振り返ると、すっかり普段着姿の海東君が立っていた
「ああ、今日は夜勤明けだったんだあ」
「レイが差し入れた朝の弁当はくそ不味かったから、その弁当、いらねえんなら俺に食わせろ」
ベンチに座った海東君が、蓋を閉じようとしていたお弁当を取り上げた
「ちょ…レイちゃんに悪いよ」
「いいんだよ。あいつとは別れてるんだから」
「え?」
「は? 聞いてないの?」
海東君が驚いた声をあげた
あたしの世界には、愁一郎しかいないから
記憶を失う前の愁一郎だけが、あたしの求める唯一の人であり、それ以外の人はいらない
興味もない
だから今の越智先生は、あたしの求める人じゃない
今の越智先生が、誰と付き合おうとあたしの知ったことじゃない
…でも、あたしの求める愁一郎と同じ顔をしている越智先生が、あたし以外の誰かを抱き寄せるのを見るのは胸が痛い
見合い相手の椎名さんとは一体、どこまで進んでいるのだろうか?
つい考えてしまったら、もうそこからは泥沼だ
抜けだせない
ドロドロした嫉妬があたしの身体を覆い尽くす
記憶を失っても、越智先生は『愁一郎』だ
あたしが愛した愁一郎の身体で、他の女性を愛す
そう考えると思うと、行き場のない怒りと悲しみがあたしの胸を支配した
「はあ…深く考えるな、あたしっ」
あたしは両手で、自分を頬に活を入れるとベンチを立ち上がった
「うまそうだな…その弁当。残すのかぁ?」
ベンチの裏から、声がしてあたしが振り返ると、すっかり普段着姿の海東君が立っていた
「ああ、今日は夜勤明けだったんだあ」
「レイが差し入れた朝の弁当はくそ不味かったから、その弁当、いらねえんなら俺に食わせろ」
ベンチに座った海東君が、蓋を閉じようとしていたお弁当を取り上げた
「ちょ…レイちゃんに悪いよ」
「いいんだよ。あいつとは別れてるんだから」
「え?」
「は? 聞いてないの?」
海東君が驚いた声をあげた