君を愛す ただ君を……
「毎日、毎日、すげえ苛々する。あんたとお袋の記憶がないってだけで、生活には支障がないはずなのに…いろいろと不便なんだ。人生のほとんどを忘れたみたいな気がして…医師としての知識は丸々残っているのに、何がなんだかわからねえ」
マグカップを二つテーブルに置いた越智先生が、見なれないソファに深く腰を落とした
あたしはお茶を飲んでる越智先生を横目で見てから、またコルクボードの写真に目を戻した
ソファは居間に一つしかない
二人掛け用のソファ
座るばしょはそこしかなくて、あとは床に座るか……ダイニングの椅子か
でも越智先生がお茶を置いてくれた場所は、越智先生が座っている隣の位置にある
それはきっと……無意識に置いたんだろうけど
あたしの意識は過剰に反応する
あたし、越智先生の隣には座れないよ
だからと言って床にべたっとお尻を落とすのも悪い気がする
ダイニングのほうに距離を開けて座るのも、あからさま過ぎてさらに気がひける
行き場所を失ったあたしの身体は結局、写真を見ている振りしかできなかった
コトンとマグカップが置かれる音がすると、あたしの身体がびくっと反応する
「怯えるなよ。あんたを傷つけるつもりはねえから」
越智先生の力のない声が、あたしに告げる
わかってるけど…なんか、怖い
どうしていいかわからないのは、あたしも同じだよ
突然…ぎゅっと背後から、抱きしめられた
え?
「やっぱ…落ち着く」
越智先生のホッとした声が、あたしの耳元で聞こえた
あたしは驚いて、越智先生の手を振りほどくと距離を開けて振り返った
「な…何をするんですか!」
あたしの言葉で、越智先生の顔がひどく傷ついた表情になった
マグカップを二つテーブルに置いた越智先生が、見なれないソファに深く腰を落とした
あたしはお茶を飲んでる越智先生を横目で見てから、またコルクボードの写真に目を戻した
ソファは居間に一つしかない
二人掛け用のソファ
座るばしょはそこしかなくて、あとは床に座るか……ダイニングの椅子か
でも越智先生がお茶を置いてくれた場所は、越智先生が座っている隣の位置にある
それはきっと……無意識に置いたんだろうけど
あたしの意識は過剰に反応する
あたし、越智先生の隣には座れないよ
だからと言って床にべたっとお尻を落とすのも悪い気がする
ダイニングのほうに距離を開けて座るのも、あからさま過ぎてさらに気がひける
行き場所を失ったあたしの身体は結局、写真を見ている振りしかできなかった
コトンとマグカップが置かれる音がすると、あたしの身体がびくっと反応する
「怯えるなよ。あんたを傷つけるつもりはねえから」
越智先生の力のない声が、あたしに告げる
わかってるけど…なんか、怖い
どうしていいかわからないのは、あたしも同じだよ
突然…ぎゅっと背後から、抱きしめられた
え?
「やっぱ…落ち着く」
越智先生のホッとした声が、あたしの耳元で聞こえた
あたしは驚いて、越智先生の手を振りほどくと距離を開けて振り返った
「な…何をするんですか!」
あたしの言葉で、越智先生の顔がひどく傷ついた表情になった