君を愛す ただ君を……
「…たく、涼宮の次はアキさんかよ。だから、あんたは嫌いなんだ」

愁一郎君が、怖い顔で奥さんを睨むと、ヅカヅカと部屋の中に入ってきた

「ちょいちょいちょい! 泥っ…汚れるっ」

愁一郎君の白い靴下が、泥を吸って黒くなった

「アキさんのほうが、泥だらけだろうが。早くシャワーを浴びないと、髪がガビガビになるよ」

「おおっ、それは困る。でも、その汚れた足で歩かれるのも困るっ」

「掃除すればいいだろ」

「誰が掃除するのよ! 誰がっ」

「アキさん」

「だから、踏むなって言ったの」

「少しでも足跡の数を減らそうとしてるのに!」

「まあまあ、いいから」

愁一郎君が、べたべたと足跡をつけて私の手を引っ張っていった

「お袋、帰れよ。あんた見てると、苛々する」

愁一郎君が、先生の奥さんを睨んだ

「いやっ、帰らないでくださいっ! きちんと話せば、きっとわかり合えるはず……」

私が愁一郎君に引っ張られながら大きな声をあげる

「分かり合えるかよ!」

「ガバッと行けば平気ですっ」

「なんだそりゃ」

愁一郎君が苛々しながら、言葉を返す

私は振り返ると、先生を見た

「ガバッとですよ」

先生がはっとした顔をして、私に微笑んでくれた

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