君を愛す ただ君を……
愁一郎君は、1週間、実家でゆっくりと過ごすと、一人暮らしをしているアパートに帰って行った

私と先生の二人の生活に戻った

今夜、先生は仕事場の人たちと飲み会だと言っていたから、私は先生の帰りを待たずに、アパートに戻った

シャワーを浴びて、居間に戻ってくると、先生がスーツ姿でテレビを眺めていた

「え? あれ?」

先生が、私の顔を見るとにっこりと笑った

「誰もいないってわかってる家に…帰る気がしなくて。はい、これ…アキちゃんにお土産。お店の料理が美味しかったから、お持ち帰りの商品を買っちゃった」

先生がお店のロゴが入っている紙袋を持ち上げると、私に差し出した

「あ…ありがとうございます」

私は紙袋を手に取ると、中身を確認した

美味しそうな食材が、お弁当になっている

「あれ? 2つ?」

私はお弁当が2つ入っているのに、目を丸くした

「アキちゃんと一緒に食べようと思って、2つ買ったんだ。そしたら看護師の子たちに、哀れな目で見られちゃったよ。独り身って大変なんですねえ…だってさ。僕が夜食と朝食の2つ分の弁当を買ったと思ったみたいだよ」

先生がくすくすと肩を揺らして笑った

私は時計を見てから先生の顔を見た

まだ8時だよ?

「あの……飲み会って」

「まだやってると思うよ。僕が居ても、皆楽しく飲めないでしょ。僕はいつも乾杯の席に同席して、あとはすぐに帰るようにしてるんだ。あ…今、僕におねだりしても駄目だよ。飲み会の席に、現金をいくらか置いてきたから…お財布の中身は空っぽだよ」

「おねだりなんてしませんよ」

「そうだね。たまには、いいんだよ。何か欲しいモノある?」

先生が欲しい……なんて言ったら、驚くかな?

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